瀬戸内寂聴
どんな悲しみや苦しみも必ず歳月が癒してくれます。
そのことを京都では『日にち薬(ひにちぐすり)』と呼びます。
時間こそが心の傷の妙薬なのです。
独りでいる覚悟を決めている人は、誰かに期待しない分、寂しくないわよ。
あなたはたった一つの尊い命をもってこの世に生まれた、大切な存在です。
人とつきあうのに秘訣があるとすれば、それはまずこちらが相手を好きになってしまうことではないでしょうか。
人は、人を愛していると思い込み、実は自分自身だけしか愛していない場合が多い。
たくさん経験をしてたくさん苦しんだほうが、死ぬときに、ああよく生きたと思えるでしょう。
逃げていたんじゃあ、貧相な人生しか送れませんわね。
もし、人より素晴らしい世界を見よう、そこにある宝にめぐり逢おうとするなら、どうしたって危険な道、恐い道を歩かねばなりません。
そういう道を求めて歩くのが、才能に賭ける人の心構えなのです。
自分が孤独だと感じたことのない人は、人を愛せない。
別れの辛さに馴れることは決してありません。
幾度繰り返しても、別れは辛く苦しいものです。
それでも、私たちは死ぬまで人を愛さずにはいられません。
それが人間なのです。